Ximmur Coat サイマーコート

サイマーコート
サイマーコートとは?
サイマーコートは金属メッキをマトリックスとし、その皮膜中にPTFE(テフロン)の微粒子を30%均一に分散・共析させたものです。
このサイマーコートの特徴としては無電解金属メッキの持つ耐摩耗性・均一性・高寸法精度、テフロンの持つ潤滑性・非粘着性の両特性を備えた機能を発揮します。

サイマーコートの用途例
-
食品業界:抗菌性・非粘着性・耐滑り性・耐磨耗性・耐熱性 パン用金型、ガイド、シューター、パネル、底ブッシュ、プレスロッド 麺ほぐし機リテーナー、チョコレートカッター等
-
医療業界:抗菌性・耐腐食性・耐熱性 ワゴン手摺、抗菌性を必要とする箇所等
-
ゴム・樹脂業界:非粘着性・耐滑り性・耐磨耗性・耐腐食性・耐熱性 金型、マンドレル、ブレーカープレート、サイジング等
-
金属加工業界:摺動性・かじり防止・耐磨耗性・耐熱性 冶具、金型、パーツフィーダー、ハブ、シューター、レール、 押さえ板等
サイマーコートの特性
テフロンの含有量が多くなると摩擦係数が小さくなります。
サイマーコートはテフロンの含有量が多く、摩擦係数はテフロンと同等の数値を示します。
低摩擦係数により摺動部などでは下記のような効果もあります。
耐腐食性

内容 | 皮膜状況 |
---|---|
1%硫酸 | 変化なし |
1%フッ素 | 変化なし |
1%NaOBr(ph 12.5) | 変化なし |
1%NaOH | 変化なし |

自己潤滑性

サイマーコートは、テフロン特性である自己潤滑性を有し、摺動時の焼き付き防止・カジリ防止に効果があります。特に無潤滑状態での摺動も条件次第では十分に対応できます。また、皮膜内部にはテフロン粒子が均一に入っており、表層部が摩耗しても、次から次へとテフロン粒子が供給され、メッキが無くなるまで安定した摺動性を維持します。
密着性
テフロン粒子は、ベースの合金にしっかりとバインドされており、
簡単にはとれません。
また、皮膜全体の密着力も優れており、高い密着力を誇ります。

非粘着性
テフロン含有量の多いサイマーコートは、テフロンの特色が強く、非粘着性や離型性を示します。
そのため離型剤を省略、節約することが可能です。(※一部対象外もあります)
特殊な樹脂やゴムによってはサイマーコートとの相性が悪い場合がございます。
弊社の営業または技術者までお問い合わせください。

撥水性
サイマーコートの接触角は111°で、テフロンコーティングと同等の値を示します。
サイマーコート表面の汚れを取り、十分に清浄な面を出すことにより、アルコールを撥じくことも可能です。

皮膜硬度
サイマーコートは、テフロン含有量により皮膜硬度が異なります。
例えばテフロン含有量を10%程度にすると、普通の無電解メッキと同程度の硬度を持ち、
且つ自己潤滑性があるため、自動車関係の摺動部品にも最適です。
テフロン含有量が多くなるに従って皮膜硬度は低くなっていきますが、
「サイマーコート」は熱処理前でHv200~250を示し、テフロンコーティングなどに比べて硬く、
簡単に傷ついたりしません。

皮膜厚
無電解金属メッキの特徴である膜圧の均一性・高寸法精度はそのまま継承しています。
よって品物の形状にこだわらず穴(貫通穴)の中やエッジ部にも隙間なく付けることが可能です。

-
耐熱性
サイマーコートは最終工程で300℃の熱処理を施します。
300℃付近での連続使用も可能です。 -
静電気防止
無電解金属メッキをベースにしているため、電導性があり静電気を発生しません。
そのため、半導体部品や精密機器、クリーンルームへの使用が可能です。 -
消音効果
摺動したり、金属同士がぶつかったりする際に生じる音を、少なくすることが出来ます。
これは、皮膜の中に入っているテフロンが、緩衝材の役目を果たすためです。
また、低摩擦性や自己潤滑性により、摺動抵抗が小さくなるためです。 -
抗菌性
大腸菌O157・MRSA肺炎桿菌に対し、抗菌効果があります。
(岡山工業技術センターにて)
構造
サイマーコートは、金属メッキ液の中にテフロンの微粒子を分散させ、この微粒子がメッキの成長過程において、メッキと共に吸着することを積み重ねて形成しています。しかし、テフロン自体は撥水性を持っており、このままではメッキ液の中に分散させることが出来ません。
そこでサイマーコートは右の図のように界面活性剤を用いてテフロンに親水性を付与し、メッキ液の中に均一に細かく分散させています。
(図1参照)更に、分散しているテフロン微粒子が、被メッキ物の表面に吸着しなければ、メッキ皮膜の中に共存しないため、粒子の表面電位は(+)にし、吸着させています。
(図2参照)サイマーコートはこの様なディスパージョン(テフロン微粉末の懸濁液)を開発し、「コーティング」を施しています。

メッキのおはなし

サイマーコートは複合無電解ニッケルテフロンメッキです。 テフロンの滑りやすい特徴を無電解ニッケルメッキ中にPTFE(テフロン微粒子)を複合させたものが、この「サイマーコート」です。
用途としては、半導体搬送部品、自動車部品、シャフト、シリンダー摺動部品、非粘着性、離型性を要するものに最適で、フッ素コ-ティングとは比べ物にならないくらいの寿命があります。
サイマーコートコーティング層の特徴としては、皮膜中に30%のPTFEを均一に分散、共析させており、最終工程で300度の熱処理をすることにより、表面はHv350の硬さになります。
サイマーコートは樹脂コーティングと異なり表面が硬く、すべり性、耐磨耗性、離型性に優れ、色々な摺動部品に利用できます。
即ちこのサイマーコートは「テフロンの滑り性」と、「無電解ニッケルメッキの耐久性能」を兼ね備えた最先端のメッキ・コーティング技術といえます。